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■監修者
順天堂大学大学院医学研究科 精神行動科学教授
新井 平伊 先生

認知症の生活への影響は? 生活の質を低下させる症状

認知症と間違えられやすい「せん妄」

認知症とせん妄の違い―せん妄の対応と予防―

 認知症と間違えられやすい症状に「せん妄」があります。せん妄は適切な治療とケアによって回復させることができるので認知症とせん妄の鑑別は特に重要です。

せん妄の特徴

 せん妄の特徴は、①注意障害などの意識障害、幻視、運動不穏がある、②発症時期が明確である、③夜間に増悪することが多いことがあげられます。せん妄は急性に発症し、何日の夜からと特定できます。夜間に増悪することが多く、「夜間せん妄」とも呼ばれます。注意力の散漫という形での意識障害と幻視および運動不穏はせん妄の三徴ですが、高齢者では幻視を伴わないこともあります。
 また、通常は運動不穏のために多動(過活動型)となることが多くみられますが、多動状態を伴わず、不活発な状態となる(低活動型)場合もあります。

せん妄発症の要因

 せん妄は複数の要因が重なって発症します。せん妄への対応を検討する上で、その要因を、準備因子、誘発因子、直接因子と整理すると対応を検討しやすくなります。
 準備因子は、脳自体の問題(器質因子):高齢、器質疾患の既往(脳梗塞、パーキンソン病など)、認知症の既往があります。
 誘発因子は、身体内外の環境に関する問題で、それ自体直接せん妄を生じることはありませんが、重症・遷延化を招く要因となります。
 環境要因としては、夜間の照明、不適切な音刺激など睡眠覚醒リズムを障害する環境、ルートやバルーンなど安静を強いられる処置、身体拘束があり、身体的な要因としては、疼痛や便秘、口渇など不快な身体症状があります。
 直接因子は、せん妄発症の主因となるもので、薬物や感染、脱水、電解質異常、低酸素など代謝障害があります。