認知症相談ナビ

認知症のご本人とご家族の笑顔と
生活を支えたい情報サイト

■監修者
順天堂大学大学院医学研究科 精神行動科学教授
新井 平伊 先生

認知症とは?もしかして認知症・・・?と思ったら

アルツハイマー型認知症 Q&A

もの忘れ以外に認知症の症状はあるのですか

 脳はそれぞれの部位で役割が異なっています。一時的に情報を記憶する海馬が障害されると、ついさっき聞いたことをまるで覚えておらず「何度も聞き返してしまう」、思考力や創造性、社会性といった高度な機能を担う前頭葉に障害が及ぶと、「無気力」「思考・判断力の低下」「怒りっぽい」といった症状が起こります。

(回答 本井 ゆみ子先生 順天堂大学医学部付属順天堂医院 脳神経内科 先任准教授)

何科を受診したらよいか迷っています

 「もしかして認知症かも…」と思ったら、まずは近くのかかりつけ医の先生に気軽に相談してみましょう。認知症の早期には周囲からもの忘れを指摘されたり、以前できたことができなくなったり、ご本人は不安を感じています。はじめから専門医に連れて行こうとすると受診拒否につながる可能性がありますから、まずは顔なじみのかかりつけ医の先生に相談して、必要に応じて専門医を紹介してもらうようにするとよいでしょう。

(回答 数井 裕光先生 大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室 講師)

なかなか受診したがらないのですが

 軽度のアルツハイマー型認知症ではご本人に病識がない場合や、逆に自分でも異常を感じ弱みを見せまいと頑固になる場合など、「どこも悪くない」と言い張って受診を拒絶する例が多々あります。病院や医師に事前に状況を伝え、常日頃の健康診断に併せてさりげなく診察してもらうと良いでしょう。ご本人が信頼しているかかりつけ医など専門家から勧めてもらうと、素直に受け入れてくれる場合もあります。薬の説明の仕方も主治医と相談してください。

(回答 板橋 薫先生 熊本県基幹型認知症疾患医療センター 認知症看護認定看護師)

どのような支援サービスがありますか

 ご家族が認知症の診断を受けたら、まずは要介護認定を申請しましょう。認定を受けるメリットの一つがケアマネジャー(介護支援専門員)を設定できる点です。ケアマネジャーはご本人やご家族の抱えている問題を把握して適切なサービスを選んでケアプラン(介護サービス計画)を作成するほか、ご家族やご本人が介護に関する悩みや疑問などをいつでも気軽に相談できる頼もしい存在です。なるべく早めに要介護認定を申請しましょう。申請については、医療機関やお住いの地域の地域包括支援センターで相談できます。

 介護保険サービスは日常生活のお世話だけでなく、リハビリテーションの役割があります。といっても、なにか特別なプログラムがあるわけではなく、定期的に施設に出かけて行って人と会って話をしたり、身体を動かして社会とのつながりを維持することが認知症の進行予防に大きな役割を担うのです。少しでも良い状態を長く保てるよう、積極的にサービスを利用しましょう。

 担当のケアマネジャーに要望があれば、遠慮なく伝えるようにしましょう。対応に満足できなかったり、相性が合わなかったりする場合には、ケアマネジャーを変更することができます。ケアマネジャー本人や事業所に変更の希望を伝えにくい場合には、地域包括支援センターに別のケアマネジャーや事業所を紹介してくれるよう依頼しましょう。

 介護保険サービス以外にも、各自治体ではさまざまなサービスが提供されています。サービス内容や費用は自治体によって異なりますから、お住いの地域でどのようなサービスが受けられるのか、地域包括支援センターやケアマネジャーに聞いてみましょう。

 地域包括支援センターは、高齢者の介護、健康、福祉、医療、生活に関する総合相談窓口として、地域のさまざまな資源と結びつくためのお手伝いをしてくれます。認知症介護に迷ったとき、どこに相談してよいか分からないとき、まずは地域包括支援センターに連絡してみましょう。

(回答 数井 裕光先生 大阪大学大学院医学系研究科 精神医学教室 講師)

すぐに本人を叱りつけてしまうのですが

 認知症のご本人は、診断を受ける前から身の回りで起きるさまざまなトラブルを自覚しています。初めて話したつもりなのに、家族から「その話はさっきも聞いたよ」と言われたり、探しものが増えたり、困ることが増えるからです。そのため、「いったい自分はどうなってしまうのだろう?」と漠然とした不安を抱え、失敗したり、周囲から指摘を受けたりすることを恐れています。こういったご本人の気持ちが症状と重なって、ますます外出を嫌がったり、イライラしたりしてしまうのです。

 このようなご本人の不安な気持ちを理解して、ご家族や周囲の方はできるだけ笑顔で接するように心がけましょう。笑顔はご本人の安心感につながります。

(回答 本井 ゆみ子先生 順天堂大学医学部付属順天堂医院 脳神経内科 先任准教授)

風呂に入ろうとしないのですが

 認知症の方は普通なら気持ちいいはずの入浴も拒否することがあります。移動や脱衣などがおっくうになり、変化を嫌うのでしょう。温かい湯船や家族との交流、晩酌など、プラスのイメージを強化する工夫が有効です。

(回答 三村 將先生 慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室 教授)

デイサービスを嫌がるのですが

 ご本人が信頼しているかかりつけ医の先生から「治療の一つですよ」と言ってもらうとスムーズに通えるようになることがあります。職員や利用者となじみの関係になれば安心して利用できるようになりますから、なるべく早くから利用するとよいでしょう。

(回答 小野 賢二郎先生 昭和大学医学部内科学講座 神経内科学部門 教授)

薬をなかなか飲んでくれないのですが

 認知症の方が薬を拒否したり、止めてしまったりする原因の一つに副作用があります。認知症の治療薬では副作用として、下痢、吐き気などの消化器症状、一日中寝ているといった日中の眠気やめまい、ふらつきなどが起きることが知られていますので、薬を嫌がる場合にはそういう症状が出ていないか確認してみましょう。ただし、副作用の出方は人によって異なりますから、消化器症状以外にも気になる症状がある場合には、それが薬の副作用かどうか、主治医に相談してみましょう。

 現在、認知症の治療薬にはいくつかの種類があり、副作用が気になる場合には別の 薬を試してみることもできますから、気軽に主治医に相談してみましょう。

(回答 今井 幸充先生 医療法人社団翠会 和光病院 院長)

認知症治療薬の効果がよくわからないのですが

 認知症治療薬にはいくつかの種類があります。早期では、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンを増やす薬が用いられます。薬の「合う」「合わない」や効き方は人によって違います。ご本人に合った薬を選ぶことが大切です。

 治療を開始しても効果が感じられない場合やなにか変だなと感じることがあれば、治療をあきらめてしまわずに主治医の先生に相談してみましょう。

(回答 小野 賢二郎先生 昭和大学医学部内科学講座 神経内科学部門 教授)

治療薬を使い始めてから怒りっぽくなりました

 治療薬を使い始めてから「怒りっぽくなった」「イライラするようになった」と感じる場合には、主治医の先生に相談しましょう。

(回答 橋本 衛先生 熊本大学大学院生命科学研究部 神経精神医学分野:神経精神科 講師)

認知症の治療はいつまで続ければよいのでしょうか

 認知症治療を早期に開始した場合、治療しなかった場合に比べて症状の進み具合を遅らせることができ、「ご本人らしく過ごすことができる時間」が長くなればなるほど、介護負担も減少します。

 ですから、認知症を疑ったらすぐに医療機関を受診すること、認知症の診断を受けたらすぐに治療を開始して、途中で止めないことが大切です。

(回答 小野 賢二郎先生 昭和大学医学部内科学講座 神経内科学部門 教授)